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レジ違算金をアルバイトが負担するのってどうなの?

 昔々、私が学生時代のころ、アルバイトでコンビニ店員をやっていました。そのコンビニは駅前にあったこともあり、一日2~3百万円ほどの売り上げがありました。レジは3台置いてあり、常にすべてのレジがフルに稼働しているような状態でした。そのため、週に1,2回、特にキャリアの浅い人がレジに入った際は、レジにあるはずの金額と実際にレジに入っているお金との間に誤差、すなわち違算金が生じていました。

 当然、コンビニ側からしたら、売上金はすべて本部に送らなくてはならないため、1円でも足りないとなれば、大問題です。そのため、そのコンビニでは、違算金が発生した場合、その時間帯にシフトに入っていた人全員で折半して、違算金を負担していました。

(例えば、ある時間帯に4人シフトに入っていて、1000円足りなかったとしたら、一人250円ずつ自腹で払う)

 その当時は、自分たちの責任で誤差を出してしまったのだから、自分たちで負担するのは当たり前のことだと思っていましたが、今になってよくよく考えると、なんで店の足りないお金をアルバイトが負担しなくてはならないのか?と少し疑問が生じてきました。違算金を出したのは、そのアルバイトを雇っている店側に責任があり、店側が負担するものではないのでしょうか?

 そこで、レジ違算金が出た場合、アルバイトが負担する必要はあるのかどうかを簡単に調べてみました。

 

 

コンビニでバイトしている高校生です。

その日のレジの締めで売上と現金の誤差が出て、現金が少なかった場合、その日にレジに入った人たちで割り勘で埋めるように店長から言われました。自分は必ず確認するし、絶対に間違えていないのに、時給850円で一日4250円のうち、300円~500円を引かれるのは納得できません。

このような割り勘はゆるされるのでしょうか。

(10代:男性)

A.

店長が責任を追及する方法として(1)民法415条の債務不履行に基づく損害賠償請求、(2)懲戒処分としての減給が考えられます。

 まず、(1)債務不履行に基づく損害賠償請求民法415条)は可能でしょうか。
 この請求をするには、店長の側が個々のバイトに債務不履行の事実があったことを証明しなければなりません。
 今回のケースでは、レジ担当者が一定でなくレジ操作を誤った当事者は明らかでないでしょうから、店長はあなたがレジ操作を誤ったことを証明できないでしょう。
 あなたがミスしたことが明らかでない以上、店長の損害賠償請求は認められません。
 したがって、あなたが割り勘で損害を支払う必要はありません。

 仮に、あなたが、レジ操作を誤ったことを店長が立証したとしても、(a)労働者の故意・過失の有無・程度、(b)労働者の地位・職務内容・労働条件、(c)損害発生に対する使用者の指示内容の適否、損害発生の予防・リスク分散の有無等が考慮されて、労働者の責任は制限されると考えられます。
 今回のケースで、仮にあなたのミスが明らかになったとしても、(a)あなたが注意を怠った程度や、(b)バイトとしての地位や、労働条件、(c)レジ差損が出ないようにする体制の有無などが考慮され、差損全額を負担させられるようなことはないでしょう。

 

次に、(2)懲戒処分としての減給はどうでしょうか。
懲戒処分としての減給を行うには就業規則に減給が定められている必要があるといわれています(労働基準法89条1項9号参照)。また、懲戒規定は合理的に限定解釈をする必要があり、さらに懲戒権の濫用は厳しく制限されています。
今回のケースで就業規則があるとしても、連帯責任としての懲戒に合理性は認められず、減給は認められないでしょう。
また、仮に、連帯責任でなく、あなた自身のミスが明らかになったとしても、懲戒の相当性を欠く、適正手続きを踏んでいない等で、減給が認められない可能性があります。

以上から、あなたのレジ操作にミスがなければ、損害を賠償する必要はありません。
仮に、あなたのミスが証明されても、必ずしもその損害の全てを賠償しなければならないわけではありません

なお、賃金には全額払の原則があり、賃金から損害賠償額を控除することは禁止されています(労働基準法24条1項、最判昭31・11・2、最判昭36・5・31)。この規定に違反した使用者は30万円以下の罰金に処せられます(120条1号)。

http://www.hou-nattoku.com/consult/756.php

 

 つまり、店側がアルバイトに違算金を負担させたければ、まずはどの店員が違算金を出したのかをしっかりと証明する必要があるということらしいです。仮に証明されたとしても、明らかにわざと違算金を出している場合(故意にレジのお金を盗むなど)を除き、全額負担させられることはないとのこと見たいです。また、賃金は必ず全額払わなくてはいけないという原則があるらしく、賃金から差し引いて違算金を負担させることもできないそうです。

 もし店側がどうしても違算金をアルバイトに負担させたければ、監視カメラを巻き戻して一つ一つのレジでのやり取りをチェックすることですね。ただ、そんなことをしている暇があるなら、他にもっと店の売り上げが上がるような有益なオペレーションを行った方が、どれだけ店のためになるものか。違算金は、その店員を雇った店側の責任と割り切って、店側が負担するのが妥当でしょう。

 しかし現実は、その店では権威のある店長から、若干二十歳前後の若い従業員が「お前らの責任で違算金が出たんだからお前らが負担しろ」とお叱りを受けたら、払わざるを得ない状況となってしまいますね。もし仮にここで従業員が、「誰が違算金を出したか証明できなければ従業員が負担する必要はありません」とでもいったとしても、違算金を払う必要はなくなっても、その従業員はおそらく今後シフトを入れてくれないなどのひどいいじめに遭うでしょう。

 悔しいですが、従業員からしたら、数百円程度なら黙って負担することが今後のことを考えれば妥当なのかもしれませんね。