Jリーグに「投げ銭システム」導入! システム導入によるメリット・デメリットは?
新型コロナウイルスの影響は、プロスポーツ界にも広がっております。
プロ野球やJリーグ、Bリーグ、プロゴルフなど、あらゆるスポーツで感染防止のため中止や延期といった策が行われております。
仮に再開したとしても、治療薬やワクチンが十分に世の中に出回るまで、少なくとも年内は無観客で行われることが予想されます。
そうなると心配なのが経営面。
プロスポーツの重要な収入源の一つである、チケット収入が見込めなくなり、かなり経営が苦しくなってしまうことが見込まれます。
しかし、そんな状況の打開策として、Jリーグでは新たな試みを始めます。
Jリーグがネット上で寄付を募る「投げ銭システム」を導入する方針を固め、パートナー企業の選定に入ったことが18日、関係者の話で分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月末に公式戦が中断してからまもなく3か月。今年度はリーグ、クラブの大幅な売り上げ減が予想され、補てんするために使われる可能性がある。導入された場合、国内スポーツのプロリーグで初めての試みとなる。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/497a5e5062232a59d2c8dfc3cb95ddfebb534259
新たな方策として、「投げ銭システム」を導入するとのことです。
これにより、新型コロナにより減少した収益の補填をするのが狙いであるとのことです。
そこで今回は、この「投げ銭システム」について、
① そもそも投げ銭システムとは何か?
② 投げ銭システムを導入することにより想定されるメリット・デメリット
について調べてみました!
●そもそも「投げ銭システム」とは?
「投げ銭」とは、インターネット上にあるボタンをクリックするだけで寄付ができるシステムで、現在は主に無名のバンドやアイドルなどに適用されています。
相場は大体1クリック当たり数十円~数百円程度で、ファンも手軽に応援ができるシステムとなっております。
この投げ銭システムを、Jリーグの試合において転用しようというのが、今回の試みです。
システムとしては、試合の映像をネットで配信し、その試合の中でいいプレーがあればファンが投げ銭をするという形になります。
Jリーグにおける投げ銭の最少額は500円からで計画されております。
もちろん、この投げ銭は強制ではなく任意であります。
●投げ銭システムを導入することのメリット
①チケット収入減分を補填できる
各クラブの収益の2割ほどはチケットの売り上げによるものであるそうですが、新型コロナの影響で無観客開催となると、その収益が0になってしまいます。
それを補填するための新たな収入源として、この「投げ銭システム」は有望視されております。
②スポーツの新しい観点が増える
例えば、今まで、試合で最も活躍をした選手を取り上げる場合、どうしてもたくさん点を取った人や、勝利に直結するプレーをした人があげられることが多くなっておりました。
ただ、この投げ銭システムの登場により、例えば「瞬間最高投げ銭額プレー」といった、仮に勝敗に直結しなくても、最もファンを沸かせたプレーがこの「投げ銭額」という形であらわすことができ、スポーツを観る新たな楽しみが増えるかもしれません。
●投げ銭システムを導入することのデメリット及び課題
①1単位500円と高い
このシステム自体には非常にポジティブな意見が多いですが、課題として挙げられているのは、その料金の高さ。
「最少500円では、ハードルが高い」
「10円とかにして、連打する感覚を味わいたい」
等、より多くの人に参加してもらうためには、この最少金額を検討する余地はあるかもしれないですね。
②プレイヤーが「投げ銭目当てのプレー」に走る可能性が
こちらは真剣勝負の世界ではほぼほぼ考えられませんが、例えば余裕のある試合展開で、無意味にマルセイユルーレットやヒールリフトといった高等技術を出したり、トラップしてシュートしたら確実にゴールできるものをあえてボレーで打ったり等、そういった「投げ銭目当てのプレー」に走る選手が、今後出てくる可能性も否定できません。
③「投げ銭を得やすい」采配になる恐れ
この「投げ銭」を多くもらえれば、当然チームの経営状態も良くなります。
そのため、その「投げ銭」ほしさに、「投げ銭を得やすい」采配へシフトするチームが出てくる可能性も否定できません。
例えば、同じポジションに、絶不調で年齢的にもう限界がきているが、過去に日本代表で大活躍したカリスマ的存在の選手と、調子は普通で知名度も全くないが、この元代表選手よりはマシな働きをする若手選手がいた場合、「どちらが投げ銭を多く得られるか」という観点で見ると、どうしても前者の選手を起用したほうが「得られる投げ銭」は多くなることが見込まれます。
経営的観点からみるとこの采配はいいですが、若手の育成という観点からみると、この采配は疑問符がつきます。
今後「投げ銭システム」が定着すると、このような「投げ銭を得るための采配」をするチームが出てくることも、否定できません。
このように課題もありますが、この「投げ銭システム」にはプロスポーツ界を発展させるための救世主となりうる可能性を秘めております。
今回導入されるJリーグはもちろん、あまりスポンサーがつかず、経営が困難なプロスポーツチームに転用することも可能かと思われます。
例えば、競技自体に興味はあるけど実際に足を運ぶまででもないといった層の人からも、「投げ銭」といった形で一定の収入を得られ、競技自体の発展につなげることもできるかもしれません。
時代とともにプロスポーツの形は変わってきますが、この「投げ銭システム」は、向こう数年は続くコロナの世界においてはもちろん、コロナ後においても、プロスポーツを発展させる大きなシステムとなりうるものであるので、ひとまずはJリーグにおいてよりよい運用がなされることを期待しましょう!